帰化申請するためには7つの要件をみたす必要があります。これは「普通帰化」とよばれます。一方、日本と密接な関係がある場合の方が帰化申請する場合は要件が緩和された「簡易帰化」によるところになります。どのような方が該当し、どんな要件が緩和されるのかを説明します。
帰化要件
まずは帰化の7つの要件について確認しておきます。
- 住所要件
引き続き5年以上日本に住所を有すること - 能力要件
20歳以上で本国法によって行為能力を有すること。 - 素行要件
素行が善良(犯罪歴が無い。税金をしっかり納めている。)であること。 - 生計要件
自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。 - 喪失要件
国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと。 - 思想要件
日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。 - 日本語能力要件
帰化をして日本で日常生活をするために一定の日本語能力が必要になります。(日本語能力試験N3、小学校3年生くらい)
要件が緩和される9つのケース
申請者の個々の状況により「住所要件」「能力要件」「生計要件」が緩和されます。
住所要件が緩和されるケース
次の項目に該当する方は5年間居住していなくても申請できます。
- 日本国民であった者の子(養子を除く。)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの
(例) 日本人であった両親が外国籍に帰化した後に生まれた子供が該当します。 - 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
(例) 日本で出生した外国人。特別永住者が該当します。 - 引き続き10年以上日本に居所を有する人
(例)多くの在日韓国人・朝鮮人の方が該当します。
住所要件、能力要件が緩和されるケース
- 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するもの日本人と結婚した方が該当します。結婚前より3年以上日本に住んでいれば結婚した時点で申請が可能できます。
- 日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有するもの
日本人と結婚して海外に住んでいた場合です。結婚後2年間は海外で生活して、その後、1年以上日本に住んでいれば申請が可能できます。
住所要件、能力要件、生計要件が緩和されるケース
- 日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を持つもの
(例)日本に帰化した外国人の子。日本人の実子で、日本国籍を選ばなかった人 - 日本国民の養子で、引き続き1年以上日本に住所を持ち、かつ養子縁組の時点で未成年であったもの
(例)自身が未成年の時に親が日本人と再婚し、連れ子として日本人と養子縁組したもの(養子縁組のとき、本国の法律で成人年齢に該当している場合は含みません。) - 日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く。)で日本に住所を有するもの
(例)日本人が外国籍を取得し、日本国籍を喪失した後に再び日本国籍を取得する場合です。 - 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者で、その時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの
(例)両親が外国人であった場合、日本で生まれた子供には自動的に日本国籍が付与されません。ですから、届出をしなかった場合、子供が無国籍になってしまいます。このような方については要件が緩和されます。
まとめ
以上のように帰化要件が緩和されるのは何らかの形で日本との結びつきが強い場合ですが、典型的なのは在日韓国人・朝鮮籍(特別永住者)の方、日本人の配偶者の方です。
簡易帰化に該当する方は要件が緩和されますが、手続き、必要書類が緩和されることはありません。結婚している方や年齢が高い方であれば独身者より書類が多くなることもあります。