帰化申請において「年齢が高くても帰化申請できますか?」と聞かれることがあります。高齢であっても帰化申請することは可能です。また、高齢で生活費の収入が年金受給のみという方もいらっしゃいます。このような方でも申請は可能です。ただし、注意点もありますので、高齢の方が帰化申請する場合についての説明をします。
帰化要件
帰化の要件については国籍法に規定があります。
まず、基本的な要件を確認しておきます。
- 住所要件
引き続き五年以上日本に住所を有すること。
- 能力要件
二十歳以上で本国法によって行為能力を有すること。
- 素行要件
素行が善良(犯罪歴が無い。税金をしっかり納めている。)であること。
- 生計要件
自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること。
- 喪失要件
国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと。
- 思想要件
日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
7 日本語能力
日本語能力については国籍法の規定ではありませんが、帰化をして日本人として生活するために一定の日本語能力が必要ということになります。
上記2にあるように年齢要件は20歳以上となっており、上限はありません。ですから、高齢の方でも申請は可能ということなります。
また、20歳以下の方については単独では帰化申請をすることは出来ませんが、親と一緒に申請することは可能です。
年齢以外に注意するべき点
前述したように高齢でも帰化申請は可能ですが、年齢以外の注意点として2つあります。
1・書類が多くなる
帰化申請は出生から現在までを繋がった書類が必要になります。
高齢であれば当然、若い方より書類が多くなります。国によって違いはありますが、本国書類だけで多くの書類が必要になることがあります。
また、申請の際、作成する書類の1つに「履歴書」があります。これは2種類あり、履歴書1には住居歴、学歴、職歴、結婚歴を記載します。履歴書2には、出国履歴を記載します。年齢が高い方は人生経験が長い分、記載する事項も多くなり、結果的に書類が増えることになります。
2・生計要件です。
上記国籍法5条4にあるのは生計要件と言われるものです。つまり、安定した生活が出来ていることが求められます。
年金受給額の多い少ないは問題ではなく、毎月の収支のバランスが大幅な赤字となっていないことが大切です。借金、ローンがあっても毎月確実に返済しており、安定した生活ができていれば問題ありません。
収入については、生計を一つにする家族の収入で判断されます。同居家族に安定した収入、資産がある場合や、親族からの支援がある場合は年金受給額が低くても大丈夫です。
まとめ
「年だから今更、帰化申請をしても」と悩んでいる方もいらっしゃいます。高齢でも帰化申請は可能なので、帰化を考えたときがタイミングです。帰化申請は非常にたくさんの書類が必要になります。また、官公署から取得する書類は使用期限があります。高齢になる取得困難な書類もあります。専門家に相談することをオススメします。
当事務所ではスムーズに申請できるよう全力でサポートいたします。お気軽にご相談ください。